0

ノエル ヌエット

ノエル ヌエットはフランス出身の詩人・画家です。大正15年にフランス語教師として来日した彼は、東京の街を深く愛し、散策しながら描きためたペン画をもとに、昭和10年頃から土井版画店より新版画を発表しました。
彼の作品の最大の特徴は、西洋的な「ペンの線」と日本の「木版技術」の融合にあります。もともと細いペンで緻密に描かれたスケッチを版画に落とし込んでいるため、伝統的な浮世絵の線とは異なる、繊細でモダンな風合いを持っています。ヌエットはあえて色数を抑え、光と影のコントラストや、西洋人の目から見た東京の異国情緒を、どこかノスタルジックに描き出しました。

作品には昭和初期の東京の風景が多く含まれています。彼は第二次世界大戦中も日本に留まり、戦災で失われる前の東京の姿を記録し続けました。外国人作家でありながら、日本の職人と協力して作り上げた彼の版画は、新版画の中でも独自のグラフィックな魅力を持っており、今なお多くの人々を惹きつけています。
ノエル ヌエット