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直政

直政は国直門下の浮世絵師で、そのの魅力は、師匠譲りの劇的な物語構成にあります。国直が葛飾派の写実的な骨格表現や、西洋由来の空間把握を歌川派の様式に融合させたように、直政の作品にも、人物の動きに必然性を感じさせる確かなデッサン力が宿っています。

武者絵や歴史画においては、単に勇壮な姿を描くだけでなく、その場の空気の震えや登場人物の心理的な葛藤が伝わってくるような、読み応えのある画面を作り上げました。
また、直政の描く細部の描き込みは非常に緻密です。着物のひだの一本一本、背景に配された調度品の質感、あるいは自然描写に至るまで、師が大切にした絵で物語を説明するという姿勢が貫かれています。華やかさで押す国貞流の表現とは一線を画し、どこか知性的で、観察に基づいたリアリティが同居しているのが直政の真骨頂です。
直政