0

歌麿

歌麿は、江戸後期の1780年代から1800年代にかけて活躍し、美人画の歴史を塗り替えた浮世絵界の巨匠です。彼の最大の功績は、女性の胸から上を大胆にクローズアップして描く「大首絵」を完成させたことにあります。
歌麿以前の美人画は全身を描くスタイルが主流でしたが、歌麿は顔を大きく描くことで、肌の質感や髪の乱れ、視線の動き、さらには女性の心の機微までも表現しようとしました。彼の描く女性は、気品ある美女から市井の看板娘、働く女性たちまで多岐にわたり、それぞれが個別の生命力と艶やかさを纏っています。特に、背景に雲母の粉をまいて真珠のような光沢を出す「雲母摺)」を多用し、人物を白く浮かび上がらせる手法は、歌麿の代名詞となりました。
また、歌麿は「透ける表現」にも執着しました。薄い布越しに透けて見える肌や、櫛が透けて見える髪の描写など、木版画の技術を極限まで引き出した繊細な表現は、当時の江戸の人々を驚嘆させました。歌麿が確立した「内面から溢れる色気」と「洗練された様式美」は、後の作家たちにも多大な影響を与え続けています。
歌麿