0

栄之

栄之は、江戸後期に活躍した浮世絵師で、美人画を中心に制作した絵師です。江戸の風俗や女性の暮らしに関心を持ち、着物姿の女性や日常の仕草を繊細に描きました。
特に女性の全身像に独自の様式を確立して、十二頭身と表現される体躯の柔らかな美人画を多数制作しています。栄之の作品の特徴は、柔らかく滑らかな線描と落ち着いた色彩にあります。顔や手足の表現は端正で、表情や姿勢のわずかな変化から、女性の気品や情緒を感じさせます。その女性像は背丈のスラッとした優雅なもので、当時ライバルだった歌麿に見られる色っぽさや淫奔さとは、はっきりと一線を画したものでした。
また、栄之は当時の生活や装いを丁寧に観察し、衣服の文様や髪型、持ち物なども正確に描写しました。その結果、画面には静かで落ち着いた美しさが漂い、江戸の女性像の魅力を端正に伝えています。
栄之